五十嵐学のブログ

(株)マナブ・イガラシの五十嵐のブログです

クラウドソーシングがいまいち弾けないわけ

自分はクラウドソーシングを結構使っていて、過去に100人以上に作業をお願いしている。

自分にとってはなくてはならないとってもありがたいものなんだけど、いまいち成長スピードが伸びないなーと。そこで弾けないわけを予想してみた。

よく比較される、ランサーズとクラウドワークスはどっちもよく出来てるサービスだし大きな差はなくなってきてるけど、業界を引っ張っていくリーダーとしてはもっと頑張って欲しいところ。

ランサーズはアピールがいまいちうまくないけど、誠実で質実剛健タイプ。 歴史もながく、登録者が売上も多分クラウドワークスより多いと思う。

クラウドワークスは後追いだけあって、サービスの細かいことがよく出来てる。ランサーズに比較すれば。社長のPRもうまいかどうかは別として量は多い。

とっても気になるのは、「クラウドソーシング」と言いながら、メインはフリーランスのビジネスマッチングってこと。

クラウド」は今流行の雲の方じゃなくて、croud=群衆。 群衆というのは、不特定多数の誰かさん。

つまり、クラウドソーシングというのは、不特定多数の誰かさんに少しずつ作業をしてもらうようなもの。

でも、クラウドワークスもランサーズもやっているのはフリーランスアウトソーシングのマッチングがメイン。

ランサーズはサービス名からしてもフリーランス向けのサービスって腹積もりなんだろうからおかしいことはない。けど、攻め方がもうちょいあるだろうと。

イマイチな理由はいくつかあるけど、思いついたのを。

【1】デザイン、イラストでのコンペはみんなを不幸にする

キャラクタ、イラスト、ロゴなんかの制作依頼を募集しようとすると、標準でコンペをおすすめされる。 コンペの場合は、例えば、ロゴを3万円で依頼して、30案来ました。 そのうち1つ(+α)を選んで、選ばれた人がその3万円をもらえます。選ばれなかった人は無駄働きですというようなものです。

例えば、当選金額の設定が高額なら、それでもいいです。

でも、3万円でコンペを出しても、そこに提案してくるのは3万円分の手間をかけたものではなく、 はずれてもしかたない、当たったらラッキーレベルのものしか来ません。

ということは、クリエーターは時間もかけずにさらっと作ったものや使い回しを出すしかなく、 クライアント側は払った対価に見合わないレベルのものを受け取るという、 Lose-Loseの関係しか生まれません。

リエーターもそれが実績に入れるとその程度のものを作る人だと思われちゃうから、せっかくあたっても目の前の3万円でしかなく、先に続かない。

それだったら、ポートフォリオを見て良さ気が人に3万円で作ってもらった方がクライアントもクリエーターも納得行くものができる可能性が高いと思う。

コンペがあるかぎり、デザイナ、イラストレーターに「クラウドソーシングで新しい働き方を!」ってのは何言ってんだ?ということになる。

そもそも30案必要なケースなんてどれほどあるんだろう。予算があっていろんなパターンを見たい!ってクライアントは1件1万円でラフを30点作ってもらえばいいんだし。

デザインやイラストは見ないとわからないなんていうのは、ラーメン屋に言って食べてみないと、お金を払えるかわからないって言ってるレベルなんだからそれをベースにしちゃダメ。

コンペが有効なのは、キャッチコピーとか、何かの名前のような、思いついてから完成まで手間がかからないものにはとってもあり。

【2】クラウドソーシングをさせたいのか、アウトソーシングをさせたいのかはっきりさせた方がいい

例えば、クラウドソーシングをさせたいなら、まずはクライアント側にこんなものがクラウドソーシングしてもらえるんだよということをビシバシ見せないと。

例えば、 ・写真1000枚をトリミングしてほしい。 ・エクセル内の名称の表記を統一させる作業をしてほしい ・パワポを小奇麗にしてほしい ・プロクオリティじゃなくていいから、この手紙を中国語にして欲しい ・アンケートの答えて欲しい などなど。

その場合、クライアントは別に企業じゃなくて一般人でもなりうる。

そして、それを請け負う側にも、合いた時間でちょっぴりお小遣い稼ぎ♪的な見せ方で専用アプリつくってスマホでもサクサクできてポイントたまってギフト券に交換みたいなポイントサイト的な見せ方をガンガンやればいい

アウトソーシングをさせたいなら、ちゃんとクリエーターとクライアントの間に入って、依頼内容が極端に安すぎないか、納期に無理はないかなどなどを都度電話やりとりするくらいの最低限の手間はかけるべき。

楽天ビジネスなんかはだいぶ前から当たり前にそんなコトしてる。

連絡のやりとりもちゃんと監視して、クリエーターから企業への連絡が滞っていたら、クリエーターに電話して連絡を促すとか、それなりの手数料とってるだけのことをしないと。

うちの場合、だいぶ使い方が慣れてきたけど、それでも1割以上は失敗する。 特に連絡が途絶えてダメになるケースが多い。

ネットを通して仕事を依頼する上で、一番のクリティカルは連絡が途絶えること。

うちは、うまくいかないことがある前提で使ってるからいいんだけど、初めて発注する人は高い確率で失敗すると思う。

法人がこういうサービスを使う時は、会社の他の人も説得しないといけないし、それで連絡がとれなくなって時間が無駄になりました!なんてなったら、自分の責任になるんだから、そういうところをしっかりしてくれないとそれなりの規模の法人がそれなりの金額を使うようになるのは難しい。

仕事を発注する側としては、失敗しても依頼金額は支払いが実行されないから無駄になりませんなんてことよりも、時間をロスしてしまうことが一番の損失。そこをカバーする方法をちゃんと用意しないと大きめの金額の案件を増やしたり、アウトソーシング案件を活性化させるのは難しいだろう

例えばサイト上に、最終ログイン日時がちゃんと出るようにして、オンライン出ないと警告メールが送られる、24時間オフラインだと警告の自動応答電話が鳴るくらいのことはしてもいいと思う。

そういうのが来るのが嫌なら、サイトにログインだけでもすればいいんだし、それさえ嫌ならそういう人が受注主になってしまわないように排除するなりをサービス側は考えたほうがいい。

こんな感じに、アウトソーシング案件とクラウドソーシング案件は全然別物で、仕事を受ける側の心得的なものもだいぶ違う。アウトソーシングとしては厳しさが必要だし、クラウドソーシングとしては気軽さが必要。

サイトの使いやすさとか支払い方法なんかも気になることはあるけど、 そんなことよりも、何より大事なのは「クリエータにとってはちゃんとした仕事があること」「クライアントにとってはちゃんと仕事をしてもらえること」。

この質をあげるためのことをしていかないと、弾けた成長はないと思う。

今は、他の良いサービスがないから、クライアントとクリエータの我慢と妥協でサービスが成り立ってる。

僕にとってどちらのサービスも欠くことが出来ない素晴らしいサービスだからこそ、いっときのモバゲーとグリーみたいにバチバチ刺激し合いながらすごいスピードでの成長に期待したい。